当社への買収提案に対する対応の基本方針について

当社は、令和元年(2019年)9月27日開催の取締役会において、当社の株式(以下「当社株式」といいます。)に対する公開買付け等の方法による当社に対する買収の実施又は提案がなされた場合における当社の基本方針(以下「本基本方針」といいます。)を決議いたしましたので、下記のとおり、お知らせいたします。


1.本基本方針の策定の背景

令和元年(2019年)7月11日より、株式会社エイチ・アイ・エス(以下「HIS」といいます。)による当社株式に対する公開買付け(以下「HIS公開買付け」といいます。)が開始されましたが、同年8月6日に公表した「株式会社エイチ・アイ・エスによる当社株券に対する公開買付けに関する意見表明(反対)のお知らせ」(以下「8月6日付けプレスリリース」といいます。)においてお知らせしておりますとおり、当社は、HIS公開買付けは当社の企業価値を毀損するおそれがあること等から、本公開買付けに対して反対の意見を表明し、HIS公開買付けは、その応募株券及び買付株券がないまま、同年8月23日をもって終了いたしました。
他方、8月6日付けプレスリリースにおいてお知らせしておりますとおり、当社は、HIS公開買付けに関する公表を受け、当社の企業価値の向上と、当社の株主の皆様に適正な価格で当社株式の売却機会を提供すること等を目的とし、当社自ら又は当社のフィナンシャル・アドバイザーを通じて他の潜在的な買収者(以下「スポンサー候補者」といいます。)の提案を求める等して、マーケット・チェックを実施し、令和元年(2019年)7月中旬以降、複数のスポンサー候補者との間で、HIS公開買付けよりも良い条件で当社株式を対象とした買収提案を行う可能性を模索してまいりました。

その結果として、令和元年(2019年)8月19日より、スポンサー候補者のうち1社であったサッポロ合同会社(以下、関係法人であるSapporo Holdings I LLCを通じてサッポロ合同会社に出資しているFortress Investment Group LLCとそのグループを総称して、「Fortress」といいます。)による当社株式に対する公開買付け(以下「Fortress公開買付け」といいます。)が開始されており、当社は、Fortress公開買付けを開始するにあたってFortressが当社に説明していた内容を踏まえ、Fortress公開買付けは当社の企業価値及び株主共同の利益の更なる向上に資するものであると判断し、同年8月16日開催の取締役会において、Fortress公開買付けに賛同し、かつ、当社株式を保有する株主の皆様に対してFortress公開買付けに応募することを推奨する旨の意見を決議いたしました。しかしながら、本日別途公表した「サッポロ合同会社による当社株券に対する公開買付けに関する意見表明(留保)のお知らせ」においてお知らせしておりますとおり、当社は、Fortressから、Fortress公開買付けの開始後に、Fortress公開買付けが株主共同の利益及び当社の企業価値の更なる向上に資するものであることに懸念が生じる内容の提案及び説明を受けております。

また、本日別途公表した「第三者による当社買収提案に係る検討結果のお知らせ」においてお知らせしておりますとおり、当社は、スポンサー候補者のうちの1社であり、グローバルに認知されている世界最大手の投資ファンドである第三者より、令和元年(2019年)9月17日付及び同月25日付で、当社株式に対する公開買付け(以下「本提案公開買付け」といいます。)を実施すること等を内容とする法的拘束力のある提案書の提出を受けております。しかしながら、当該提案書の内容は、本提案公開買付けの実施が当社の企業価値の更なる向上に資するものであることに懸念を生じさせる内容でした。

このように、当社は、HIS公開買付けに関する公表を受け、株主共同の利益の確保及び当社の企業価値の維持・向上の実現を目的として、複数のスポンサー候補者との間で買収提案の可能性を模索してまいりましたが、その結果として当社に対して買収提案をするに至ったスポンサー候補者から受けている提案及び説明内容を踏まえると、当社がスポンサー候補者による当社の買収を通じて実現したい価値が正しく理解されていない可能性があると認識しております。
そこで、当社は、当社がスポンサー候補者による当社の買収を通じて実現したい価値を改めて明確にし、株主共同の利益の確保及び当社の企業価値の維持・向上に資する買収提案を受けることができるようにするとともに、当社に対する買収の実施又は提案がなされた場合において、当該買収提案に対して恣意性を排除した公正な判断を行い、もって株主共同の利益の確保及び当社の企業価値の維持・向上を実現することを目的として、令和元年(2019年)9月27日開催の取締役会において、本基本方針を決議致しました。
当社は、スポンサー候補者その他第三者から当社株式に対する公開買付け等の方法による当社に対する買収の実施又は提案がなされた場合には、本基本方針に従って検討を行ったうえで、当該買収提案に対する当社の対応を決定いたします。


2.本基本方針の内容

(1)概要
当社は、スポンサー候補者その他第三者から当社株式に対する公開買付け等の方法による当社に対する買収の実施又は提案(以下「本買収提案」といいます。)がなされた場合には、以下の視点から検討を行ったうえで、本買収提案に対する当社の意見を決定いたします。
① 本買収提案が株主共同の利益の確保に資するものであるか
② 本買収提案が当社の企業価値の維持・向上に資するものであるか

当社は、株主共同の利益及び当社の企業価値を当社における「広義の企業価値」と位置付け、上記①について下記「(2)株主共同の利益について(上記①)」を踏まえて、上記②について下記「(3)当社の企業価値について(上記②)」を踏まえて、それぞれ慎重に検討してまいります。
かかる当社の考え方は、経済産業省が令和元年(2019年)6月28日に公表した「公正なM&Aの在り方に関する指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」(別添1)において、M&Aにおいて尊重されるべき価値として企業価値の向上と一般株主利益の確保が指摘されていることや、判例(最決平成19年8月7日・平成19年(許)第30号)において、経営支配権の取得が会社の企業価値が毀損し、株主の共同の利益が害することになる場合に、会社がこれを防止することが肯定されていることにも合致するものです。

(2)株主共同の利益について(上記①)
当社は、本買収提案が株主共同の利益の確保に資するものであるかを判断するにあたっては、本買収提案における当社株式の取得の対価が最も重要な要素であると考えております。
したがって、株主共同利益の観点からは、本買収提案における当社株式の取得の対価が高額であるほど、株主共同の利益に資する買収提案であると判断いたします。
但し、株主の公平性の観点からは、すべての当社の株主が、上記の対価を得て当社株式を譲渡する機会が確保されることが重要であるため、本買収提案が、当社の株式を上限なく取得するものであるかどうか(当社株式を100%取得するものであるかどうか)についても併せて考慮いたします。

(3)当社の企業価値について(上記②)
当社は、当社の企業価値にとって、その源泉であり、かつ、重要なステークホルダーである当社の従業員の雇用が確保された上で、従業員にとって働きがいのある企業であり続けることが極めて重要であると考えております。
したがって、本買収提案が当社の企業価値の維持・向上に資するものであると判断するためには、当社の従業員の雇用が確保された上で、従業員にとって働きがいのある企業であり続けることを確保できる「仕組み」が採用されている必要があると考えております。
具体的には、単に、本買収提案の時点における労働条件が維持されるだけではなく、従業員による当社の企業価値の向上に対する貢献を踏まえた労働条件の持続的な改善を実現することができる必要があり、買収提案者による当社の解体や企業利益の過度な収奪を防止するための「仕組み」が採用されているかどうかが、当社の企業価値の維持・向上に資するものであるかどうかを判断するうえで重要な要素となると考えております。
かかる当社の考え方は、株式会社東京証券取引所が平成30年(2018年)6月1日に公表した「コーポレートガバナンス・コード~会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために~」(別添2)において、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値を創出する源泉として、従業員によるリソースの提供や貢献が指摘されていることにも合致するものです。

(4)株主共同の利益と当社の企業価値が相反する場合の対応について
株主共同の利益と、当社の企業価値の維持・向上は、通常は一致するものと考えられますが、これらが一致せず、株主共同の利益と当社の企業価値が相反することも考えられます。このような場合、当社は、株主共同の利益と当社の企業価値のいずれもが重要であり、両者を合わせて「広義の企業価値」であると捉えているため、両者を一致させるよう合理的な努力を行うものとします。
(参考)「公正なM&Aの在り方に関する指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」(別添1)
「コーポレートガバナンス・コード~会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために~」(別添2)

以上


(別添1)
経済産業省 2019年6月28日
「公正なM&Aの在り方に関する指針 -企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」
3.4.4 対抗提案を受けた場合の対応
実際に対抗提案者が出現した場合には、その対抗提案が具体的かつ実現可能性のある真摯な買収提案である限り、対象会社の取締役会や特別委員会としては、当該対抗提案の内容についても真摯に検討する必要があり、合理的な理由なくこれを拒絶することは適切とはいえない。
その上で、対象会社の企業価値の向上により資する買収提案と、一般株主が享受する利益(買収対価)がより大きな買収提案とは、通常は一致するものと考えられるところ、例外的にこれらが一致せず、一般株主が享受する利益がより大きな買収提案が他に存在する中で、対象会社の企業価値の向上により資すると判断する買収提案に賛同する場合には、対象会社の取締役会および特別委員会は、その判断の合理性について十分な説明責任を果たすことが望ましい。(※)
(※)いずれの買収提案が対象会社の企業価値の向上により資するかについては慎重な判断が求められ、企業価値の概念を恣意的に拡大することにより、このような判断を不明確にすることは望ましくない。

(別添2)
東京証券取引所 2018年6月1日
「コーポレートガバナンス・コード」
第2章 株主以外のステークホルダーとの適切な協働
【基本原則2】
上場会社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出は、従業員、顧客、取引先、債権者、地域会社をはじめとする様々なステークホルダーによるリソースの提供や貢献の結果であることを十分に認識し、これらのステークホルダーとの適切な協働に努めるべきである。
取締役会・経営陣は、これらのステークホルダーの権利・立場や健全な事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の醸成に向けてリーダーシップを発揮すべきである。

考え方
上場会社には、株主以外にも重要なステークホルダーが数多く存在する。これらのステークホルダーには、従業員をはじめとする社内の関係者や、顧客・取引先・債権者等の社外の関係者、更には、地域社会のように会社の存続・活動の基盤をなす主体が含まれる。上場会社は、自らの持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を達成するためには、これらのステークホルダーとの適切な協働が不可欠であることを十分に認識すべきである。また、近時のグローバルな社会・環境問題等に対する関心の高まりを踏まえれば、いわゆるESG(環境、社会、統治)問題への積極的・能動的な対応をこれらに含めることも考えられる。
上場会社が、こうした認識を踏まえて適切な対応を行うことは、社会・経済全体に利益を及ぼすとともに、その結果として、会社自身にも更に利益がもたらされる、という好循環の実現に資するものである。